仁義なき嫁・初恋編

ラルーナ文庫版「仁義なき嫁・初恋編」をお読みいただいた皆様、ありがとうございます。

ついに文庫も第一部完となりました。
これも皆様のお力添えがあってのことです。
本当に、ありがとうございます。

今回も加筆修正を行いました。削ったり、足したり。
またしてもどこが増えたのか、もう覚えていません。
どこかに修正案の紙が…あったんですが…。どこ、行った…(笑)。

文庫版の情愛編と初恋編に追加した大きなテーマは「過去の恋と現在の恋」です。佐和紀には『過去の恋』がなく、周平にはあります(しかも、とんでもないのが)。

『現在の恋』にようやく慣れた佐和紀は、セックスに耽溺することで違和感を覚えます。考えていた状態と違うわけです。これは情愛編の感想でいただいた「やってるけど色っぽさが足りない気がする」ってやつですね。

佐和紀が「女」宣言をした時から、周平は『現在』と『過去』を比べ初め、自分が恋をしたように佐和紀も恋をしたはずと無意識に思い込んで、岡崎に苛立ったりなんだり、めんどくさく(笑)なります。

周平はこれが「初恋」だと気づかないんですねぇ。過去に経験した恋とは違う種類の感情で、別物だとわからない。そういう事情が裏にあります。(これは説明するようなことじゃないんでしょうけど。電子版をリライトする上で、あんまりにも前に出すと別ものになるので、ひっそりさせました)

周平は「現在の恋」が「過去の恋」を越えることをひたすら求めてます。たぶん(笑)。書きながら、バカだなぁと思い、それが男の人の可愛いところだなぁと思いました。
経験値がすべてじゃないのよー、みたいな。

そして、違和感に我慢が出来なくなる嫁。答えなんてわからなくても、我慢ができないので、またプチ家出です(マンションから逃げた)。相変わらずの子供っぽさだけど、周平のことはあきらめたくないんでしょうね。
このあたりは比べる過去がない分、どうしたって佐和紀の方が強いです。
でも、何も考えてないし、策もないし(笑)。

結婚モノって男女ものを含めてたくさんあるわけですが、どれも結婚がゴールで、そこから先にある感情はあんまり描かれない気がします。
(どうしても、役割りを振りあてられるので、「夫」「妻」「父」「母」という役に添って行きますよね。そして、感情はうちにこもっていく…)

好きで結婚した旦那もしくは嫁には、元カレ元カノがいたわけで、まともな人であればあるほど、そのときは本気で好きだったはずで…。

と、いうところを今回の加筆修正では折り込みました。

「本気で好きになってうまく行かなくて壊れた恋」が積み重なって「現在の恋」がうまく行っているわけではなくて、この恋はまっさらなんですよ、と。

あと、あの女が帰って来るぜ!という伏線の意味もね…あります。
お気づきの方もいるかと思いますけど、周平ね、「過去の恋」と「現在の恋」を比べてるじゃないですか。そんなことしてるから、佐和紀に気づかれるんだよね。

「あ、こいつ、引きずってる。忘れられなくてヤクザになったってさー、あれじゃない? 焼けぼっくいに火をつけたかったんじゃねぇの? いつまで? いつまで、それ?」

佐和紀はそう思ってるんだけど、彼には彼の考え方があるので、「やだ!裏切り!」みたいなことにはなりませんけど…。今回、「俺だけを見なさいよー」と釘は差したし、佐和紀にはその頃の周平を(同じ男として)かわいそうに思う同情心もあるようなので。

旅情編の頃は恋に恋していた佐和紀だったわけですが、今はかなりレベルアップしましたので、由紀子が出てきたなら、今度はどんな戦いになるやら…。

周平は、首に縄をかけられた気がします。
でも、まったく嫌じゃないでしょうね。
「ここにいなさい」と言われたいのは佐和紀だけじゃなかったと言う話です。
初恋編は…。

それにしたって、佐和紀は家出して迎えに来てもらうのに、周平は追い出された上に謝罪を強要されるって…。性格の違い(笑)。

今回、お気に入りシーンは『舎弟三人から吊し上げられる周平』です。
仲良し。
そして、さりげなく「おまえらより、俺の方が佐和紀をわかっている」と言いたげな周平の言動(笑)。

電子書籍で配信したとき、情愛・初恋編は「BL小説で夫婦のリアルなやり取りなんて見たくないよー」という感じのレビューを頂いたんですが、ちょっと嬉しかったです。ちゃんと夫婦のいざこざを書けたんだなと思って。
基本的に、仁義なき嫁シリーズは娯楽なんですが、たまにはシリアスターンも。特に、情愛・初恋編は佐和紀が成長する大事なお話だったので…、でもそれが、あんな内容でごめんなさい(笑)。

さて、第一部が終了した文庫版の仁義なき嫁ですが、第二部の文庫化も実現しそうです。
こちらは加筆なしで発行すると思います。ちょっとした修正を入れる程度でしょうか。
書きおろしおまけページがもらえるようにお願いしておこうと思いますが…。日常ワンシーンと、今回のようなエロ、どっちがイイでしょう。

書下ろしの官能オマケは、内容が内容だけに、なかなか言及してもらえず…。感想の言いようもないとは思いますが(笑)。
私としては、あのページを開けば、確実にエロだけ読めるので、妙案!とか思ってるんですが…。どうですか。

「旦那の××」シリーズを続けるかどうかは未定です。
毎回、タイトル考えるのが大変なので、継続かな~程度の感じです。

それでは、今回はこのあたりで。
次回は紙書籍デビューしてから、ちょうど10冊目になります!
ツイッターでは書下ろし長編とお知らせしましたが、もしかしたら、ユウキ&能見の文庫化の方が先かも…。

これからもどうぞよろしくお願いします。