仁義なき嫁・銀蝶編

続仁義なき嫁7銀蝶編を読んでくださった皆様、ありがとうございます。
いつもの通り、あとがきがわりに所感を綴っていきたいと思います。

◎今回は、『佐和紀・夜の蝶になる』がテーマでした。
そして、由紀子の復活。
ある意味、打たれ強い人なので、負けたとも思っていませんがイラッとはしています。
全身から「最近面白いことがないわー」というオーラを感じます。

テーマは割と早いうちから予定していて、時期的なものを探っていました。
由紀子を再登場させるのに、周平や佐和紀、そして京子についていろいろ書いておく必要があったので(主に緑陰編)。

◎舞台をクラブにしないでキャバレーにしたのは、仁嫁シリーズはいつも昭和Vシネのつもりで書いているので、ここでならキャバレーを使える!と思ったのでした。でも、システムとかいろいろ実際とは違いますので、悪しからず。
佐和紀は年齢的に、ホステスじゃ無理があるので、ママとしました。でも、ぴったり来たのでは…。

◎実は初稿では「佐和紀の初陣」要素はありませんでした。
推敲の段階でタモツがぽろっと言い出し、あーそうだわーと思わされました。
まさしく作中の佐和紀と同じで、脇役に思い知らされる感じ(笑)。

キャラクターたちはひとつの事件を通して、それぞれの人生を過ごし、それぞれの思惑で動き、いろいろ考えているんですね…と他人事みたいに言ってみる。
今回の事件でも、周平や世話係三人は、それぞれの想いの元で動いたと思います。
…周平があれほど心乱されるとは思いませんでしたが(笑)。

◎周平が弱く見えるかもな…と思いながら書いていたので、そんなふうに思った読者の方もいたでしょうが、外で気張っている男の人が、嫁の前や嫁のことで心乱すぐらい大目に見てあげてください…。見なくてもいいですが(笑)。
あと、あれですね。
周平が佐和紀の童貞問題にこだわるのは、彼が『恋の終わり』を知っている人だからです。
でも、佐和紀は恋が終わるということを知りません。もしかしたら、一生知らないで生きるのだろうと思います。
ふたりにはそういう根本的な違いがありますね。生まれ育ちの違いもありますが。

周平は、落ちぶれて悲惨なことになっても、最後の希望を捨てきれなかった人だなと最近思います。
だから、ユウキをなんとなく甘やかし続けたし、彼の中にも希望を残したりしています。好きにはなってませんが。
それを弱いと見るか、強いと見るか。それは受け手次第のようにも思いますし、私が規定する必要もないですね。
読み手それぞれの感性にお任せします(おそらくそのときどきの読み手の精神状態によって変わるようにも思います)

◎相変わらず、京子には感情を見せる周平。あとあと見ると、姉弟みたいでした…。
彼女が話を聞いてくれたので、周平は下手に嫉妬を見せずに佐和紀を応援できたんでしょうね。途中、ケンカ売ってましたが(佐和紀に)。

◎周平がグルグル考えすぎてケンカを売っても、しかたないなぁと流しつつ、理解したいと思っている佐和紀もいます。
頭の良すぎる旦那を面倒がらないでえらいし、優しい。
もう結婚生活も3年が過ぎ、すっかり夫婦です。
なので「また言ってる」ってところもそのうち出てくるのかも(笑)。
こう書くと佐和紀がすごい大人みたいですが、まだまだ、まだまだ……。
佐和紀が上手にあしらえるようになると、周平も安定するような気がします。シンさんをあしらってる場合じゃないかも(笑)。

◎最後のエッチシーンは、横濱三美人で書いたランジェリー佐和紀が可愛かったので、本編にも導入したくなってしまいました…。
いやぁ、エロくていいですよね。
孕ませセックスは、どうだろうか……と思いつつ書いてみましたが、うまいところへ収まったと思います。
書く前には、男同士で妊娠するわけないし、萌えるかな?と不安でした(笑)。

『孕ませセックス』とか『ズボ姦』とかは、わりと男性向けエロ用語なんですが、佐和紀は三井が持ってくるエロ同人誌で学んでいると思います。
周平の舎弟の同人作家ミハルが書くエロ同人誌の影響…。
(同人誌『仁義なき嫁設定資料集』に収録の『大滝組家中、温泉へ行く』を参照ください。彼は猫背で小太りで、IT工作員の隊長です)

佐和紀は、周平のどんな変態セリフでも受け入れて、適度に嫌がりつつ、興が乗ればノリノリで返します…。
作中ではそんなに書いてませんが、周平とのエッチ大好きです(読者は気づいていると思いますが)。
普段、男らしい佐和紀も、周平の腕の中ではただの人です。自分のすべてをさらけ出して、甘えまくって気持ちよくなりたいだけです。
あの変貌ぶりも、結構スゴい、と書いてて思う…。
◎支倉はちょいちょい、やらかします。
周平大好き(三井と張るぐらい…)なので、無視されると、この世の終わりみたいになりますね。
佐和紀にはあんなに強気なのに(笑)。

◎ついに、佐和紀がモバイルを…のタブレット登場。
石垣が必死で教えてますが、使えるかな~。これで、海外にいても連絡取れるようになりました。

◎真柴はやっとの再登場。
旅情編で出たときは、財前とカップリングかなと思っていたんですが、なんとなくしっくり来なくて、すみれとカップルになりました。
ここはこのまま安泰で、ほどほどでゴールインかと思います。
真柴は、関西に帰れるかどうかが問題として残ってますが、しばらく無理ですね。
佐和紀は、巻を重ねるごとにお説教がうまくなって(笑)。
成長したね…と思います。

すみれは、真柴とくっつくまでずっと、どこか壊れたままです。普通の思考回路はしていません。
真柴との交際で生まれ変わって、新しい人生を得て欲しいと思います。
でも、ゆくゆくは関西の大ヤクザの姐さんにならなきゃいけないと思いますけど…。すみれなら大丈夫な気がする。
◎仁嫁を書くたびに、佐和紀には性別がないなと思います。
もちろん、男として書いているんですが、周平との夫婦関係についてを考えるときには『個』というものを大事にしています。

これから先、リアルな社会も、男同士女同士の夫婦を許容していくだろうし、そうであってほしいです。
そして、女と男の役割も曖昧になって、個人同士の結びつきになっていけばいいのになと思います。
男と女の夫婦でも、旦那=女、嫁=男という感じでもいいんじゃないかと。

私は、性差はあると思うし、女は女らしく、男は男らしくという教育を悪とは思いません。
そもそも、女は強く、男は弱いと思うので(タフかどうかという点で)、そう言い聞かせるぐらいが、良いバランスになるのだろうと思います。

だからと言って、女だから男のすることをしてはダメと言うのは違うと思います。反対も然り。
なので、佐和紀は『女のすること』をやっていくし、周平を甘やかすし、家族を守ります。
ある意味、先進的なんでしょうね。
周平の子どもがどこかにいても平気です(これは個人の資質ですね)。
根本的に周平大好きなので、周平ジュニアがいたら素直に嬉しいんです…。
一方で、周平はわりと後進的。
佐和紀を外に出すと言いながら、内心ではひやひやしてるし(笑)。
だからこそ、佐和紀を守り、佐和紀のしたいことの手助けをしてあげられる存在かなと思ったりします。

佐和紀のこういった考え方は、母親から受け継いだものかなーと思うし、牧島とも話していた『階層の違い』に繋がるところですね。
牧島には今後も、佐和紀に生きた学問を教えてあげて欲しいと思いつつ、どうなるかな…。
◎今後の仁嫁は、いつものゆっくりペースながら、佐和紀の出生の秘密へ進んでいく予定です。
かなり荒唐無稽な感じになりそうですが、そもそも男嫁が非現実的なので…。ご容赦ください。
ただ、上記したように、仁嫁を書く上でいろいろ考えたり、自分なりのテーマがあるので、それを追いかけていけたらと思います。

自分なりのテーマについては、一言で書くことができないし、小説の中で表現していくものだと思っています。
なので、読者すべてに届かなくてもいいし、気にならない人は読み飛ばしてかまわないようなことでもあります。
だから、あんまり深く考えないでくださいね!

と、言うようなことを書いたのは、今回、「長文の感想が欲しい!」というおねだりが叶い、たくさんの長文感想をいただくことができたからです。
読者の方が、それぞれの楽しみ方をしていることがわかり、本当に嬉しかったです。

手渡した時点で、この物語は読者それぞれの個人的なものになるだろうと思いますので、どんな楽しみ方をされてもOKです。
小説の楽しみ方に正解はありません。

その一方で、テーマに触れる部分に反応してくださっている読者さんもいらしたので、この程度の薄さでなら扱っても大丈夫かなと思いました。
この点については、がっつり掘り下げるつもりはないので、汲み取れたら、その部分も楽しんでほしい…というレベルです。
(がっつり書いたら、BLじゃなくなってしまうので…)
◎いただいた感想の中での疑問に答えてみます。

★由紀子はかなりのサイコパスです(笑)。彼女は、自分が周平に本気だったことに生涯気づかないし、気づいたら終わりだと思います。

★加奈子は水商売の女だからこそ、酸いも甘いもかみ分けると言うよりは、まんまと周平の策に落ちます。
だって、周平なので…。女を目つきで惑わすぐらい朝飯前です。
あと、加奈子のこれまでを考えると(借金があったり、由紀子と繋がっていたり)、やっぱり周平みたいな男にはコロッと騙されるでしょう…。みんな、さびしいんです。

★最近の佐和紀はもう嫉妬とかないです…。本妻パワーです。
書いていると、周平に何かをして欲しいということもなさそうで、とにかく「与えたい」ようです。
周平と暮らしていれば、どれだけ自分が愛されているかはわかるだろうし、実際、すごく大事にされてるし、求められてるし…。
結婚から3年経って、倦怠期どころか超安定期ですよ…。

一方で、周平に頼らず、一本立ちしたい気力も湧いてきているような…。

★そして、周平には不安が。働きに出すということが、佐和紀に新しい世界を見せることだと、ようやくリアルに感じています。
そのあたりは、京子さんがきちんと言い聞かせるんじゃないでしょうか。お姉さんの役目(笑)
人間はいくつになっても、自己解決できないことがあると思います。悩みは尽きないので、きっと、30代には30代の、40代には40代の悩みがあると思います…。
でも、きちんと悩んで、きちんと解決していきます…。たぶん…。

★佐和紀の過去についてですが、シリーズを立ち上げた当初から、ラストは佐和紀の出生の問題が絡むと決めていました。
ただ、そこまでがすごく長くなってしまいました…。

1巻を書いたときは、単発のつもりでした。ラスト近くなって、2巻(新妻編)を書きたくなって全4~5巻構成にしたんですが、3巻(旅情編)あたりから本腰入れるぞと考え直し、その先を大まかに作ったような気がします。
なので、大まかな流れは変わらないのですが、細かいところはまったく違う話になります。
なんと言っても、キャラが育ってしまう話なので…。予定通りに行かないことがいろいろと。

とりあえず、第二部は銀蝶編が折り返しになるといいなと思っています。
第三部も書かせていただけると嬉しいと思いつつ、2018年頃が第二部のクライマックスでしょうか。
よろしくお願いします。
◎周平の隠し子については、本編の通りにグレーです。今後、出てくるかもしれないし、出てこないかもしれません。
BLなので、攻めや受けに子どもの問題があると読み手にはひっかかりが出るとは思うのですが、さらりと流して頂ければと思います。

子どもに対する考え方の違いも、キャラの個性だと思っています。
周平の遺伝子が残ると嬉しい佐和紀は自分の遺伝子には興味がないし、周平はあれほど女を抱いていても子どもを産ませたいと思ったことはない。
そういうところに、キャラの人生観が出ると思います。

周平は、佐和紀になら子供を産んで欲しいと思いそうですが…。
佐和紀も、周平の子どもを産みたいと思いそうですが…。
無理なので…。

子どもの問題は、書かなくてもいいことだろうなと思いつつ書いています。

書くことではっきりすることがあるとしたら、周平と佐和紀は子供の有無では別れないということですね。
例え、お互いの隠し子が出てきても、いまのパートナーを捨てて、子どものために新たな家庭を作るということはありません。
佐和紀も周平も、お互いがいてこその家族なので。

佐和紀は最近、舎弟を含んで「家族」を意識し始めている気がします…。
◎親衛隊候補
小ネタとしては、代表していた寺坂さんは、電子書籍「極道彼氏の初恋」に出てくる人と同じです。
なので、実はあの作品も同世界です。
今回もだらだらと書いてしまいました。
お付き合い下さり、ありがとうございます。

次回の仁嫁は片恋番外地2の予定です。
周平と佐和紀のエロが入らないので、また盗聴盗撮ですか…と思いながら、そればっかりもなぁと悩み中です。(もう書き上がりました。盗聴はないよ…!)
ほぼレギュラー確定の新キャラ投入は決まっているので、うまく作中にハマってくれるといいなと思います。

オカムラスキーを悶絶させることができるように頑張ります!